ALCHEMY GOTHIC: Death of the Heart 心の死

ALCHEMY GOTHIC: 心の死 Death of the Heart P585
ゴシック美学とヴィクトリア朝の喪服文化:
「ゴシック」という言葉は、元来中世の建築様式を指しましたが、18世紀後半の「ゴシック小説」の登場により、暗闇、神秘、廃墟、死、そして悲劇的なロマンスといった要素と結びつけられるようになりました。19世紀のヴィクトリア朝時代に入ると、特にアルバート公の死後、ヴィクトリア女王が長期にわたり喪に服したことから、喪服（Mourning Wear）が社会の厳格な慣習となりました。この時期、故人を偲び、死を記憶するための「メメント・モリ（死を忘れるな）」の思想を込めたジュエリーが流行しました。黒い素材（ジェット、オニキス、黒エナメルなど）が多用され、髑髏や棺、涙滴、あるいは故人の髪の毛などが取り入れられることもありました。このネックレスのダークな色彩と髑髏のモチーフは、まさにその喪服ジュエリーの精神的な系譜を汲んでいます。

「ハート」と「髑髏」の象徴性:
このネックレスでは、そのハートが単なるロマンチックな記号としてではなく、内側に「髑髏」を宿すことで、その意味が反転、あるいは深化しています。髑髏は「死」「終焉」「無常」といった避けがたい真実、すなわち「メメント・モリ」の最も直接的な象徴です。ハートの中に髑髏があることは、愛や感情の「死」、深い喪失感、失われた希望、あるいは人生の儚さそのものを表現しています。これは、肉体的な死だけでなく、精神的、感情的な「死」をも示唆し、深い悲しみや絶望、あるいは特定の関係性の終わりといった、人間の経験の暗い側面を表現しています。

「心の死」という解釈:
単なる肉体の死を超えた、感情的な枯渇や精神的な消耗を強く示唆しています。深い失恋、裏切り、あるいは人生における大きな挫折によって、心が「死んだ」ように感じられる状態、感情が麻痺した状態を表すメタファーとして解釈できます。一方で、この種のジュエリーは、そうした痛みを乗り越え、それを自身のアイデンティティの一部として受け入れる、あるいは「死と再生」という神秘的なテーマを探求する、ゴシック文化特有の姿勢を反映しているとも言えます。


3インチ x 1.75インチ 8cm x 4cm
チェーン 40インチ 101cm

Fantasia／ファンタジア／カタカムナ